見えていなかった美しさへ— キモノボードが読み解く“柄”の世界(日本美術編)

🪷 は じ め に|“柄”を読むということ
着物の柄合わせや着こなし方についての本やYouTubeでは、今やたくさんの情報にあふれています。
季節感の出し方、格式のルール、TPOに合わせた色柄の選び方……。
どれも、日本の文化の奥深さを感じる、大切な視点です。
でも私は、もう少し違った角度から、着物の柄を眺めてみたいと思っています。
それは、“着る”ための柄ではなく、“デザインとして向き合う”柄。そこに流れるリズムや色の重なり、構図の妙を見つけていく。
キモノボードは、そうした視点で、着物の布そのものを「時代や文化を超えたデザイン」として見つめなおし、再構成したものづくりを意識しています。
先日は、西洋美術と照らし合わせながら柄の表現を読み解いてみましたが、(西洋美術編はこちら≪)
今回はその視点を、より身近な「日本美術」へと向けてみたいと思います。
日本美術の中に流れる“キモノ的”感覚
🟠 琳派(17世紀〜)|金と余白の構成美 リンク
▶️ 装飾美・リズム・自然との調和
・金地と余白の大胆な構図
・桜や波、草花がリズムを持って配置される美しさ
👘 キモノボードとのリンク:
金襴や箔入りの帯地を使った作品では、琳派的な「面」と「間」の感覚を意識することがよくあります。
余白が語る美しさ。それが空間アートとしてのキモノボードの魅力にもなっています。
🟠 浮世絵(18〜19世紀)|トリミングと視点の自由さ リンク
▶️ 視線の誘導・大胆な構図・日常と風俗
👘 キモノボードとのリンク:
布の柄をあえて全部見せず、一部を切り取るように構成する感覚は、まさに浮世絵的なトリミングの視点です。
「全部を語らず、想像させる美」がそこにあります。
🟠 日本画(近代以降)|自然との共鳴と装飾性 リンク
▶️ 花鳥風月・柔らかな線・にじみ・ぼかし
👘 キモノボードとのリンク:
ぼかし染めや、滲んだような友禅柄など、絵画的に見える布を扱うとき、日本画の柔らかさをどう活かすかを考えます。
“線”ではなく“気配”で構成するような作業です。
🟠 工芸(民藝運動)|手仕事と繰り返しの美 リンク
▶️ 染織・型染・手の跡・用の美
👘 キモノボードとのリンク:
紬や絣の繰り返し柄、型染の素朴な揺らぎは、まさに「用の美」としての美術表現。
日々の生活に溶け込む美しさを、空間に置くアートとして再解釈しています。
🟠 屏風・襖絵|空間を分割する構図 リンク
▶️ 続き絵・風景の省略と象徴・季節の流れ
👘 キモノボードとのリンク:
1枚1枚は独立していても、複数並べると連続性が生まれる。キモノボードも、並べて展示するときには屏風や襖のような“連なり”を意識することがあります。
布と布の間にある“間(ま)”もまた、大切な要素です。
🟠 禅画・水墨画|省略と静けさの極み リンク
▶️ 最小限の線と余白・精神性の表現
👘 キモノボードとのリンク:
墨色の絞り柄や、無地の中に一筋だけ入った金彩など、あえて“描かない”ことで美しさが引き立つ。
日本美術に通じる「余白を読む」美しさを、空間アートとして提案しています。
こうして見てみると、日本美術にも、着物の“柄”と通じる構成やリズム、そして余白の感覚がたくさんあります。それはきっと、着物が日常の中で自然と「美術」として息づいていた証なのかもしれません。
もちろん、日本美術はこれだけでは語りきれません。表現の種類ごとにじっくりと読み解いていくことで、まだまだ新たな発見があるはずです。キモノボードは、そんな日本的な美意識を、もう一度、現代の空間にそっと呼び戻すような存在でありたいと願っています。
次回は、「装飾」と「間(ま)」という視点から、キモノボードの柄に秘められた美しさを、さらに深く読み解いてみたいと思います。
🔥着物ボードでは、只今
👘忘れたくないにっぽんの心。
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しかしその美しさの裏で、いま、年間約1兆円相当・72万トン以上の着物が処分されているという現実があります(ChatGPT調べ)。
流行やライフスタイルの変化、管理やリメイクの難しさ。
そして、引越しや別れの中で、どうにもできないまま燃えるゴミとなっていく着物たち。
だからこそ、強く思うのです。
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気になる方は、ぜひのぞいてみてください!
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詳細はSNSやブログでご案内いたします。ご旅行の際、お住まいの方はぜひ、宮崎空港ギャラリーに足をお運びいただけましたら幸いです(購入も可能と聞いています)
それでは、最後までおよみくださりありがとうございました。
店主 浜田 アツ子
投稿者
info@kimonoboard.com